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~ いい歌 唄い継ごう ~​NAK懐メロ大賞
【 ​特別寄稿 】 2023年12月5日
櫛田紘一(NAK本部講師)

そもそも「懐メロ」とは何でしょう?

 第二次世界大戦後の1945~1955年に放送されたNHKラジオの音楽番組「なつかしの歌声」が懐メロの語源と言われています。

 

厳密な時代区分はありませんが、大衆音楽(流行歌)がレコードという媒体で広く流布する大正末から昭和初期以降、第二次世界大戦までの流行歌を指していたようです。

 懐メロが広く一般的に使われるようになったのは、テレビが出現し1960年代にテレビ東京が「なつかしの歌声」を放送し、往年の歌手達の映像と歌声がお茶の間に流れるようになってからで、1930~1950年代の流行歌の総称としての〝懐メロ“が確立されました。

 1960年前後は、一種の懐メロブームになり、1957年の『船頭小唄/森繁久弥』を始め、1959年の『人生劇場/村田英雄』、1960年の『無情の夢/佐川ミツオ』、『雨に咲く花/井上ひろし』、1961年の『君恋し/フランク永井』、 ※『北上夜曲/マヒナスターズ』、※『北帰行/小林旭』などが戦前の流行歌が数多くリバイバルヒットしました。

(※印​の2曲は当時の歌声喫茶ブームとも関連したヒット曲です)

日本唯一の懐メロだけのカラオケ大会「NAK懐メロ大賞

 大会名に冠されたNAKは1982年末に創設されたカラオケファンが集う全国組織・日本アマチュア歌謡連盟の略称です。

 

AKでは創設翌年1983年からカラオケ日本一決定戦「日本アマチュア歌謡祭」を毎年開催。 

また、歌謡音楽文化に貢献すべく、1991年にはカラオケファンが選ぶ 草の根音楽賞NAK日本流行歌(はやりうた)大賞制定し、活動の大きな柱としてきました。

 

1995年には”いい歌 唄い継ごう”の主旨のもと、懐メロだけの全国カラオケ大会「第1回NAK懐メロ大賞」を開催。

毎年秋に開催されて本年(2023)で29回を数える全国の懐メロファンによる名物大会になっています。

『NAK懐メロ大賞』大会概要はこちらから >>

大会29年の応募曲の推移

 さて、NAK懐メロ大賞には規定があり、開催年から逆算して30年以上前に発売された曲を「懐メロ」該当曲としています。したがって、開催を重ねるたびに懐メロ該当曲は増えて〝新しい懐メロ”が誕生します。

来のイメージの懐メロだけではここまで続かなかったでしょう。

そこで、その変遷(ベスト10)を5年毎に区切って見ていくことにしましょう。

第1回懐メロ大賞

■第1回(1995)

当時のカラオケファンの中核は60歳前後で、彼らが若い頃のヒット曲がズラリと並んでいます。女性歌手曲では1940年代発売の『湖畔の宿』、『悲しき口笛』、『星の流れに』、男性歌手曲では1932年発売の最古参『影を慕いて』始め『夜霧のブルース』、『長崎の鐘』、『東京の花売娘』など1940年代発売曲がズラリと並んでいます。異色は『アカシアの雨がやむ時』で〝死んでしまいたい“の歌詞がよっぽど強烈だったのかも知れません。

第5回懐メロ大賞

■第5回(2000)

5年前のランキング曲が結構残っていますが、女性曲では『涙の連絡船』や『下町育ち』、男性曲では『浪曲子守唄』など後代に〝演歌“と呼ばれる曲がベスト10入りしています

第10回懐メロ大賞

■第10回(2004)

女性曲では『下町育ち』が新しい懐メロとして孤軍奮闘。他はお馴染みの定番懐メロ。男性曲ではフランク永井の『おまえに』が登場、以後定番曲として定着します

第15回懐メロ大賞

■第15回(2009)

過去10年の流れと比較すると〝揺り戻し“現象があったようで、いわゆる懐メロ定番曲がズラリと並びました

第20回懐メロ大賞

■第20回(2014)

この年、大きな変化が現れています。女性曲では1位となった『だんな様』、そして『夫婦舟』の登場です。1980年代になると、戦後ののど自慢ブームの末裔でもあった男性カラオケフアンに、新たにママさんカラオケフアンが加わります。このママさんカラオケフアンの〝懐メロ“が上記の2曲というわけです。男性曲で五木ひろしの楽曲が3曲もランクインしているのもカラオケが一般に大っぴらに認められた年代の懐メロ曲と言っていいでしょう。

​歴代優勝曲
懐メロ大賞 歴代優勝曲
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